electron-chromium-upgradeスキルでElectronのChromiumアップグレードを進める方法
Electronプロジェクトで組み込みのChromiumバージョンを更新する作業は、約159個のパッチ管理と段階的なビルド修正を伴う大規模な作業です。パッチの競合解決やコミットフォーマットなど、守るべきルールも多くあります。
この記事では、Electronリポジトリのelectron-chromium-upgradeスキルを使って、Chromiumバージョンアップグレードを体系的に進める方法を解説します。
このスキルは何をしてくれるのか
electron-chromium-upgradeは、ElectronにおけるChromiumアップグレード作業を2つのフェーズでガイドするスキルです:
- Phase One: パッチ修正(
e sync --3の成功まで繰り返し実行) - Phase Two: ビルド修正(
e build -k 999でビルドが通るまで繰り返し実行) - パッチの競合解決、エクスポート、コミットフォーマットの適用
- ビルドエラーの分析とElectron側コードの修正
ElectronコアチームでChromiumアップグレードを担当する開発者に向いています。
インストール方法
前提条件
- Claude Codeがインストール済みであること
- Electronリポジトリのソースコードとビルド環境
eコマンド(Electron開発ツール)が利用可能
インストールコマンド
claude mcp add github.com/electron/electron/tree/main/.claude/skills/electron-chromium-upgrade
使い方
Phase One: パッチ修正
# rr-cacheを削除(過去の競合解決キャッシュをクリア)
rm -rf .git/rr-cache
# 3-way mergeでパッチを適用
e sync --3
# 競合が発生したらgit am --continueで解決後に続行
git am --continue
# 修正をパッチファイルにエクスポート
e patches {target}
# e sync --3 が成功するまで繰り返す
成功したらe patches allで全パッチをエクスポートし、コミットします。
Phase Two: ビルド修正
# 最大エラー数でビルド
e build -k 999
# 特定ターゲットのビルド検証
e build -t {target}.o
# ビルド成功後の検証
e start --version
ビルドエラーはChromium側のAPIや構造変更に起因するため、Electron側のコードを適応させて修正します。
知っておくべき注意点
パッチは削除しない
パッチが不要であることが100%確実でない限り、パッチを削除しないでください。アップストリームの変更によりパッチ内容が変わっている場合は、パッチのdescriptionを更新します。
Chromiumのコードは変更しない
ビルドエラーの修正では、Chromiumのコードを変更するのではなく、Electron側のコードを適応させます。
コミットガイドラインの遵守
フェーズごとにコミットフォーマットのガイドラインが定められています。コミット前にreferences/phase-one-commit-guidelines.mdとreferences/phase-two-commit-guidelines.mdを必ず確認してください。
まとめ
electron-chromium-upgradeスキルを使うと、Chromiumアップグレードの複雑なワークフローをPhase One(パッチ修正)とPhase Two(ビルド修正)の2段階で体系的に進められます。パッチ管理のルールとコミットガイドラインに沿うことで、安全にアップグレードを完了できます。